携帯ブラックリストの消滅時効援用とは
昔滞納した携帯料金を踏み倒すことってできる?
そんな疑問をお持ちでしょうか。
そもそも「消滅時効援用」を簡単に説明すると、お金を借りた人(債務者)がお金を貸した人(債権者)に対して「この借金は消滅時効を迎えているから、返済義務はありません。だから返済はしません」と通知することを言います。
5年以上返済していない貸金業者に対して、時効の援用を適用することで借金をゼロにすることができる可能性があります。
これは携帯料金についても同様です。
ただし援用を通知する会社が携帯会社ではなく、債権会社になるなど特有の流れがあります。
以下詳しく解説します。
携帯料金の支払いが遅れた場合の流れ
携帯料金滞納からの時効援用までの流れを解説するため、まずは携帯料金を滞納した際の流れをご紹介します。
料金滞納
まずは、期限までに料金を支払わないでいると「滞納」状態になります。
ちなみに、一例としてソフトバンクではいかなる事情があっても、支払い期日は待つことができません。
ですので、「事情があって、支払日を遅らせてほしい」と伝えたとしても、受け付けてくれません。
請求書が届く
期限までに料金を支払わないと、だいたい2週間程度でお手元に振込用紙が届きます。
振込用紙に従ってすぐに支払えば回線が停止することはありませんが、そこから滞納し続けると回線停止→強制解約に進みます。
回線停止
振込用紙の期限を過ぎてもなお支払わないでいると、ついに回線が停止されます。携帯を使おうとしても「「お客様のご都合によりおつなぎできません」という音声が流れるようになります。
キャリアによって異なりますが、一番初めの支払い日から起算して14~20日前後が目安です。
同じ名義で家族のスマートフォンを利用していると同時に停止されます。また、セット契約している自宅の光回線なども同様です。
強制解約
回線が停止されても未納分の料金を支払うことは可能です。この時点で支払いを行わないと、いよいよ「強制解約」が実行されます。
強制解約されると「携帯ブラック」になり、それ以降ソフトバンクのサービスが新規申し込み不可になります。
使おうとしても「お客様のおかけになった電話番後は現在使われておりません」というアナウンスに変わります。
一例としてソフトバンクの場合は、最初の支払日から起算して4ヵ月入金が確認できない場合、強制解約となります。
出典:ソフトバンク公式HP
この時点で、TCA(一般社団法人電気通信事業者協会)やTELESA(一般社団法人テレコムサービス協会)に掲載される可能性が極めて高くなります。この状態になると、大手キャリアでは新規契約が難しくなります。
督促
なお、強制解約になったからといって、支払い義務がなくなるわけではありません。
そのため、債権回収業者や弁護士から滞納分の取り立て通知が届きます。
裁判・財産差し押さえ
その後、最悪の場合、訴訟されて裁判や財産差し押さえといった場合もあります。
そのような事態になる前に、未払いの料金を支払うことを推奨します。
携帯ブラックリストの時効援用ならではの特徴
延滞時の督促会社が異なる
携帯電話の料金には「基本料金と通話料金」と「機種本体料金」があり、支払い方法も「携帯電話会社直接」または「dカードなどでの支払い」に分かれています。
そのため、延滞時の督促会社が異なる可能性があります。
例えば、NTTドコモの場合、通話料金などはNTTファイナンスが、dカード支払いの場合はニッテレ債権回収がそれぞれ督促を担当します。
基本料金や通話料金を延滞した場合
機種本体料金の支払いがなく、通話料金などの延滞のみの場合、信用情報に傷はつきません。
つまり、「金融ブラックリスト」への掲載はないということですね。
ただし、いわゆる「携帯ブラックリスト」と呼ばれるTCA(一般社団法人電気通信事業者協会)やTELESA(一般社団法人テレコムサービス協会)に登録されます。
そのため、延滞が解消されない限り、新しい携帯会社との契約が難しい状況となります。
機種本体料金を延滞した場合
機種本体料金がある場合、多くの場合、携帯電話契約時に分割払いの契約書に署名することになります。
つまりローンを組んでいるため、もし滞納があれば、「金融ブラックリスト」を扱う機関であるJICCやCICに延滞情報が登録されます。
そのため、クレジットカードの発行ができなかったり、ローンの申込みが難しいなど携帯電話の契約以外での不都合が発生することがあります。
消滅時効援用の条件
- 5年以上支払いが滞っている
- 相手方と支払いに関する連絡を5年以上とっていない
- 対象の債務について相手方(携帯会社、債権回収会社、弁護士事務所)からの訴訟や債務名義の取り立てがない
以上の条件を満たしている場合、携帯料金の消滅時効援用について適用できる可能性が高いと言えます。その際に慌てて連絡をしてしまうと、2の条件を満たしていないことになりかねませんので、その点だけ注意が必要です。
また、債務者が債権者に対して告知しない限り、時効は適用されない点も注意が必要です。
時効の成立要件は、債務者(ご自身)が債権者(債権回収会社など)に対して「消滅時効援用通知書」を送付し、かつ相手がこれを受け取ることで成立します。
消滅時効援用後の携帯契約はどうなる?
再契約は可能
時効援用手続きをした会社であっても、再度契約することができます。
ただし条件付きとなる可能性が高く、機種代金の分割払いは不可、もしくは預かり金を収めるなどの手順を踏むことになります。
他キャリアでの契約
他キャリアでの契約も可能となります。他社の時効処理を知ることはできないためです。
条件付きの契約となるのは時効手続きをした会社だけで、基本的に契約に支障はありません。
踏み倒し、時効は得策ではない
基本的なことですが、消滅時効援用による借金踏み倒しを期待するのではなく、基本的には「借金を返す」というスタンスでいる方が良いでしょう。
支払いを後回しにした結果、さらに利息が重なって支払いがきつくなります。
また、もし消滅時効援用を適用する・したい場合には、無理に自分で解決しようとせず、司法書士・行政書士事務所や消滅時効援用手続専門の業者に依頼するとスムーズです。